昨日に引き続き、今回は1995年を。
この年表にちょっとずつ私なりに補足していこうかなと思う企画その3。
- 1. 1995年の渋谷系
- 1.1. ●ピチカート・ファイヴ、初の海外ツアーへ(2月)
- 1.2. ◯カーディガンズ、3月に本国スウェーデンにてアルバム『Life』を発表(3月)
- 1.3. ●渋谷シネライズで『うたかたの日々』が公開される(3/11)
- 1.4. ●カヒミ・カリィ、NHK-FM「ミュージック・パイロット」MCを担当(4月~)
- 1.5. ■岡崎京子、自動車事故に遭う。以降、休筆を強いられることに(5/18)
- 1.6. ◯小沢健二も参加した東京スカパラダイスオーケストラのアルバム『GRAND PRIX』発売(6/21)
- 1.7. ●映画『恋する惑星』、日本で公開(7/15)
- 1.8. ◯常盤響が装丁を手がけた砂原良徳の初ソロアルバム『Crossover』リリース(9/1)
- 1.9. ●ピチカート・ファイヴ『ロマンティーク96』をリリース(9/30)
- 1.10. ●小沢健二、森永ダースのCMに出演(10月)
- 1.11. ●コーネリアス『69/96』をリリース(11/1)
1995年の渋谷系
補足する上での注意事項
なお、●は年表にないもの。○は年表にあるが補足する必要を感じたものだ。
そして、今回、■を新たに設ける。これは明らかに間違っているものだ。
●ピチカート・ファイヴ、初の海外ツアーへ(2月)
ピチカート初のワールドツアーが敢行された。アメリカ10都市、ヨーロッパ4都市。
以後、ワールドツアーは定例化。
◯カーディガンズ、3月に本国スウェーデンにてアルバム『Life』を発表(3月)
同アルバムのスマッシュ・ヒットを機に、スウェディッシュ・ポップスに注目が集まるようになる。
その流れを受けて、同年「米国音楽」が「Early Summer Special Issue」という別冊を刊行。スウェディッシュ・ポップスをまるまる1冊で特集した。巻頭にはカジヒデキも登場。1997年への布石はすでにここに。
なお、95年の夏に、カーディガンズ「カーニヴァル」をステージで弾き語りで披露したアイドルがいることをご存知だろうか。それはなんと稲垣吾郎である。……というのを以前ここで書いたこともあったり。
●渋谷シネライズで『うたかたの日々』が公開される(3/11)
1968年に制作されたボリス・ヴィアン原作、シャルル・ベルモン監督の『うたかたの日々』が渋谷シネライズにおいて日本で初公開された。
パンフレットには川勝正幸や岡崎京子が寄稿した。
なお、渋谷シネマライズは2016年1月7日に閉館したが、同所では96年にミケランジェロ・アントニオーニ監督の『砂丘』(LPサイズのパンフレットは話題になった)、97年に『黒い十人の女』のリヴァイヴァル上映が行われている。
●カヒミ・カリィ、NHK-FM「ミュージック・パイロット」MCを担当(4月~)
96年にフランスに渡るまで、「ミュージック・パイロット」のパーソナリティーを担当した。bisやアップルズ・イン・ステレオなどが流れるという、インディ・ポップス好きとしてはたまらない内容だった。
■岡崎京子、自動車事故に遭う。以降、休筆を強いられることに(5/18)
これは間違い。岡崎京子が事故に遭ったのは1996年5月である。 なお、1995年に「FEEL YOUNG」誌上で連載が開始されたのが「ヘルタースケルター」である。
◯小沢健二も参加した東京スカパラダイスオーケストラのアルバム『GRAND PRIX』発売(6/21)
小沢は同アルバムで、小坂忠の「しらけちまうぜ」をカヴァー。同曲でバックコーラスを務めたのは真城めぐみ(ヒックスヴィル)である。
同アルバムには高橋幸宏やキミドリ、竹中直人らも参加している。
●映画『恋する惑星』、日本で公開(7/15)
ウォン・カーウァイ監督による映画『恋する惑星』が公開された。
「ミラクル・ポップチューン・ムービー」というキャッチフレーズで称された同映画のスタイリッシュな描写、広角レンズによる独特の映像には、当時のサブカル層は大体刺激を受けているはず。続く『天使の涙』(96年)、そして『トレイン・スポッティング』(96年、ダニー・ボイル監督)とともに、サブカル少年の基礎教養となった。
◯常盤響が装丁を手がけた砂原良徳の初ソロアルバム『Crossover』リリース(9/1)
余談だが、同アルバムに収録されている「Clouds across the moon」はRAH BANDのカヴァーであり、彼らの編集盤『Perfumed Garden』が翌年トラットリアからリリースされた。
なお、砂原と常盤響によるコラージュ作品『LIMITED EDITION NOT FOR SALE』が関係者の間で配られたのも同年であり(僅かだが、市場にも出回った)、同作品がコーネリアス『ファンタズマ』やファンタスティック・エクスプロージョン、バッファロー・ドーターに影響を与えたとされている。
●ピチカート・ファイヴ『ロマンティーク96』をリリース(9/30)
今回取り上げたのは、同アルバムの4曲目に収録された「ジェット機のハウス」に理由がある。
同曲はピチカートではなく、ファンタスティック・プラスティック・マシーンによるもの。メジャーからFPM名義で発表された初めての曲が同曲であった。
なお、FPMとしては、シティ・ボーイズの95年公演「愚者の代弁者、うっかり東へ」で音楽を担当しており、「ジェット機のハウス」の初出も同公演である(テーマ曲は小西が担当)。
●小沢健二、森永ダースのCMに出演(10月)
ローマで撮影されたCM。「さよならなんて云えないよ」が流れる中、早口言葉で小沢くんがローマ撮影についてしゃべり倒すという構成になっていた。なお、小山田が『96/69』で悪魔のコスプレをしていたことと、小沢くんがダースのCMで天使のコスプレをしていたことは、当時コアなパーフリ・ファンの間では話題となっていた。
●コーネリアス『69/96』をリリース(11/1)
王道な渋谷系アルバムであった1stから打って変わってのHR/HMな『69/96』はファンに衝撃を与えた。
また、96曲目に収録されている「Welcome to Jungle」にはtrf「Overnight Sensation」やピチカート「東京は夜の7時」が引用され、さらには「今夜はブギー・バック」まで引用されていることは、リスナーの笑いを誘った。
なお、同年12/1にリリースされたスチャダラパーのリミックス・ベスト『サイクル・ヒッツ』には、小山田の歌唱による「今夜はブギー・バック (smooth rap)」が収録され、古くからのパーフリ・ファンは小沢くんそっくりに歌う小山田にニヤニヤしたのだった。