スーザン・ピルスベリー『Susan Pillsbury』

スーザン・ピルスベリー『Susan Pillsbury』

女性シンガー・ソングライター、スーザン・ピルスベリーの1st。
今回が初CD化だそうで。やはり今月初CD化されたキャシー・マコードにも驚いたが、こちらにも当然驚いた。と言っても、多分、そんなに話題にならず終わりそうだけど。

このアルバム、リリース自体は73年。Sweet Fortune Recordsから。発売当時から今に至るまでほとんど話題にもならず、スーザン・ピルスベリー自身もこのアルバム1枚しか残していないわけだが。シンガー・ソングライターの濃いマニアの間ではひっそりと語り継がれてはいて。おかげで僕も知ってはいたのだが。

まあ、非常に地味なレコードではある。1曲目こそブルースっぽくもありウッドストックぽい味わいもあるのだが、
以降は必要最低限の演奏がバックで鳴っているだけ。あとは、はかなげなヴォーカルのみ。バッキングをよく聴くと、たまにジャジーだったりしてそこそこグルーヴィーなのだが、バッキングの出力をヴォーカルルのか細さに合わせて下げたような感じで。レコードそのものが今にも消えそうな感触ではあるのだが。それでも、そのはかなさ自体が美しくて。泣ける。

なお。今回のCD化に際して、以前までは明らかにされていなかったクレジットも明らかになっていて。なにせ、以前まで参加ミュージシャンはおろか、レコーディング・スタジオまで書かれていなかったわけだし。とは言っても、ミュージシャンに関しては明らかになったのは、ベーシストのリチャード・デイヴィスのみ。ということは、ギターのジェイ・バーリーナーと併せて、ヴァン・モリソン『アストラル・ウィーク』組ということか。考えてみれば、『アストラル・ウィークス』も翳りを帯びていたアルバムだった。両者の比較ではないが、両者を並べて楽しむというのもアリかもしれない。