リストを作成するということについて

リストを作成するということについて

版元さんから献本された『キッド・ピストルズの醜態』(光文社文庫)をなにげなくぱらぱらっと見ていたら、すごく残念なものを目にしてしまった。
その残念なものとは、巻末に掲載された山口氏の著作リストである。

件のリストはそもそも、『生ける屍の死』再文庫化にあたって私が作成したものだ。クレジットは「作成:遊井かなめ、協力:田中雄二」となっている。
私は、昨年6月以降、〈キッド・ピストルズ〉再文庫化にいっさいタッチしていないわけだが、著作リストは同企画にそのまま流用されている。クレジットも「作成:遊井かなめ、協力:田中雄二」のまま。そのリストが、私に何の相談もなく改ざんされていたのである。
改ざんによって完全なリストになるのであれば問題はない。しかし、改ざんによって、リストに新たな瑕疵が生まれていたのだから、困ったもの。非常に残念だ。

キッド・ピストルズの蛇足

改ざんされていたのは、次の2箇所だ。

1つ目は〈単行本未収録作品〉の項目に記載されている門あさ美さんのLPに付録された「歌姫」。
この作品については、私が著作リストを作成した段階では存在が確認されなかったもので、私の“降板”後に発見されたものだと思われる。
私に相談がなかったのは残念だが、リストの穴が埋まったことは、いちミステリ・ファンとしても喜ばしいことである。

問題は2つ目だ。
〈ミステリ関連アイテム〉の項目に、霜月かいりさんによるコミカライズ「キッド・ピストル vol1」が付け足されていたのだ。
同作については、私がリストを作成した昨年4月の段階で外した経緯がある。なぜなら、コミカライズはあくまで霜月かいりさんの作品であり、山口氏の作品ではないからだ。もし、霜月かいりさんのマンガも入れるのであれば、アニメ「靴の中の死体」(探偵Xからの挑戦状Season1 第8話)もドラマ「垂里冴子のお見合い事件帖」も入れるべきだろう。
――以上のように考えて、私は外したわけである。山口氏には「なぜ外したか」を説明し、了承も得られたので、外したものをリストとして『生ける屍の死』下巻に掲載した次第である。1)しかし、私の“降板”時にはすでに、山口氏は私の説明を忘れてしまっていた。
ただ、例外的に、ゲーム『Cat the Ripper 13人目の探偵士』についてはリストに入れた。同作に関しては、直前の「山口雅也作品リスト」に存在を記載しているので、補完する意味で入れる必要があるだろうと判断したからだ。
いずれにせよ、コミカライズが入ったことにより、表のコンセプトがブレてしまったことが残念でならない。コミカライズが入っているのに、アニメ「靴の中の死体」とドラマ「垂里冴子のお見合い事件帖」が入っていないという不完全なリストになってしまったことは本当に悔やまれる。

「リストも著作物である」という考えが、おそらく山口氏にはなかったのだろう。同人誌感覚を大事にしていると公言されている山口氏だけに2)『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』の序文を読むと、よくわかる、そういう考えが欠如しているのも納得できるが、非常に残念だ。

なお、この改ざんにより、註釈番号が1つ飛んでしまった。「キッド」のコミカライズに「※11」とあるが、これは「※10」の間違いである。クレジットには「作成:遊井かなめ」とあるだけに、この誤植も私の責任になってしまうのだろうか。非常に残念だ。

リストを作成する上での心構え

音楽雑誌の編集者などを経てきた私が、作品リストやディスコグラフィー、出演リストといった表を作成する際に気をつけていることがある。
「筋が通っているか」「基準は明確になっているか」だ。
どこまでリストに入れるか、入れないか。その基準に筋は通っているか、ということである。
「これを入れて、なぜあっちは除外したのか」を、リスト作成した人が説明できないという状況は、書籍として破綻している。
「コミカライズが載っていて、ドラマ『垂里冴子』が載っていないのはなぜ?」と問われた場合、私は説明できない。表を作成した人が説明できないのだから、このリストは不完全で出来損ないのリストでしかない。商業誌に載せていいものではないと思う。

なんにせよ、今回の出来事は非常に残念で、悔しい気持ちでいっぱいである。
「リストも著作物である」という考えがちゃんと浸透することを心より願う次第だ。

註釈   [ + ]

1. しかし、私の“降板”時にはすでに、山口氏は私の説明を忘れてしまっていた。
2. 『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』の序文を読むと、よくわかる

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