2019年度のアルバム私的Best10

2019年度のアルバム私的Best10

はじめに

年末恒例、ということで。

とりあえず2018年12月~2019年11月の間にリリースされたアルバムから、独断と偏見で2019年度のベスト10を挙げておきます。

なお、私の〈Best10選出〉は、1996年に地元のレコード屋さんからの依頼で、同店舗が発行していたフリーペーパーに寄稿したものから始まっておりまして、2年前に1度中断しましたが、20年以上もBest10を選び続けてきたということになります。いやはや恐ろしい。

最後に。コメントは覚え書き程度のものなので、お手柔らかにお願いします。
なお、2018年度のものはこちら。

洋楽新譜部門

1位 ヴァン・モリソン『Three Chords and the Truth』
2市 ザ・ブラック・キーズ『Let’s Rock』
3位 ブルース・スプリングスティーン『Western Stars』
4位 コリン・リンデン&ルーサー・ディッキンソン『Amour』
5位 ジェフ・リンズELO『From Out of Nowhere』
6位 ジミー・ヴォーン『Baby, Please Come Home』
7位 タンク&ザ・バンガス『Green Balloon』
8位 リース・ワイナンズ『Sweet Release』
9位 ロニー・ウッド・ウィズ・ヒズ・ワイルド・ファイヴ
   『Mad Lad: A Live Tribute to Chuck Berry 』
10位 ノース・ミシシッピ・オールスターズ『Up and Rolling』
次点 ザ・バード&ザ・ビー
   『Interpreting the Masters Volume II: A Tribute to Van Halen』
次点 ジョージ・ベンソン『Walking to New Orleans』

コメント

1位はヴァン・モリソン。『Pay The Devil』以降だと思うが、自身が愛好してきた音楽(ルーツ的なもの)にすんごいリラックスして向き合ってきたヴァン・モリスン。そんな彼の気取らなさが感じられる本作は1曲以外、すべてオリジナル。地味だけど、とにかく心地よいアルバムだ。ビル・メドレーとのデュエットや、ジェイ・バーリナーの参加などの話題も渋くてよい。

3位の『Western Stars』は、アメリカン・ポップス黄金時代に活躍したソングライターが70年代に入ってシンガー・ソングライターとして出したレコードの手触りがある。近年(でもないけれど)だと、ブライアン・ウィルソン『That Lucky Old Sun』が一番近いかもしれない。

アメリカーナ好きの方には断然4位がおすすめ。〈ラヴ・ソング〉をテーマとするフォーク、カントリー、ブルースのカヴァー集だ。アレンジも面白いのだが、なんといってもユニークなのがその音像。アンビエントなゆらぐ音像とアメリカーナのマッチングはとにかく心地よい。

ザ・バード&ザ・ビーのヴァン・ヘイレン・カヴァー集も楽しかった。ヴァン・ヘイレンってよくよく考えたらポップなグループだし、キュートでキャッチーなリフばかりだよなと当たり前のことに気づけた次第。

洋楽再発・発掘部門

1位 エルヴィス・プレスリー『American Sound 1969』
2位 エルヴィス・プレスリー
   『Back-In Living Stereo (The Essential 1960-62 Masters) 』
3位 ボブ・ディラン
   『The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings 』
4位 ザ・バンド
   『The Band (50th Anniversary Super Deluxe Edition) 』
5位 ボブ・ディラン『Travelin’ Thru, 1967-1969: The Bootleg Series Vol. 15』
6位 ビーチ・ボーイズ
   『Wake The World: The Friends Sessions』
7位 ビートルズ『Abbey Road (50th Anniversary Super Deluxe Edition)』
8位 オーティス・レディング
   『Just Do It One More Time!
    Captured Live At The Monterey International Pop Festival』
9位 キース・リチャーズ
   『Talk Is Cheap: 30th Anniversary Deluxe Edition』
10位 プリンス『Musicology』
次点 トッド・ラングレン
   『The Complete U.S. Bearsville & Warner Bros. Singles』
次点 ドン・マクリーン『American Pie (2019 Paper-Sleeve Reissue) 』

コメント

アメリカ・ロック好きとして、今年はディランの〈ローリング・サンダー・レヴュー〉箱を挙げるべきなのだろうが、しょうがない。エルヴィスのとてつもない箱が次々に出ちゃったんだもの。
1位はメンフィスでの伝説的なセッションをまとめたもの。このセッションに関しては、10年前にここで長々書いたので参照してください(笑)。2位はタイトル通り1960~1962年に吹き込まれた音源(一部、ホームレコーディングもあり)をまとめたもの。つまり、1位と2位でフロム・ナッシュヴィル・トゥ・メンフィスということになる(なんのこっちゃ)。
ちなみに、10位の中には入れなかったけど、昨年12月に英Aceからレジー・ヤングの音源集『Session Guitar Star』がリリースされたのも嬉しかった。同盤には、前述のメンフィス・セッションで録音されたエルヴィス「Stranger In My Own Home Town」が収録されているので、まあ、ついでに入手してみてください。

6位はビーチ・ボーイズ『フレンズ』のセッション音源集。配信限定で、同タイミングで『I Can Hear Music: The 20/20 Sessions』も配信されている。こういうのはどうしても買っちゃいます。マニアだから聴いちゃいます。仕方ない。

プリンスの再発もめちゃくちゃ熱かったのだが、一番燃えたのは『Musicology』。こんな超弩級のファンク名盤が今まで廃盤になっていたというのがおかしい。

ここには挙げなかったけど、ブラス・ロックものを集めた『Horn Rock & Funky Guitar Grooves 1968-1974』には興奮した。Chase「Run Back To Mama」とかも収録されていて、とにかくカッとなっちゃうアルバムだ。

邦楽部門

1位 コーネリアス『Mellow Waves Visuals』
2位 オリジナル・ラブ『bless You!』
3位 大滝詠一『NIAGARA CONCERT ’83』
4位 細野晴臣『HOCHONO HOUSE』
5位 竹内まりや『Turntable』
6位 chiquewa『君だけの魔法』
7位 小西康陽とプレイボーイズ『井上順のプレイボーイ講座12章』
8位 BUDDHA BRAND『これがブッダブランド!』
9位 ダージリン 『8芯二葉~雪あかりBlend』
10位 The Birthday『VIVIAN KILLERS』
次点 小沢健二『So kakkoii 宇宙』
次点 恵比寿マスカッツ「EBISU ANIMAL ANTHEM」

コメント

音と映像の組み合わせがひたすら面白かった『Mellow Waves Visuals』に圧倒された1年だった。

今の音像というものを強く意識したであろう2位と4位は圧巻。5位は洋楽のカヴァー音源などがふんだんに収録されたディスク3が秀逸だった。

6位はボカロ。chiquewaさんによるビッグバンド・ジャズで、歌ものに真正面から取り組んだ1枚。ビッグバンドへのこだわりがすさまじく、その執念にシビレてしまった。フィル・スペクター級の狂気すら感じられる1枚だ。

『円楽のプレイボーイ講座12章』へのトリビュートといった内容の7位は、〈昭和の東京〉のストリートの音楽。井上順の語りが内容も含めて、とにかくオシャレ。正直な話、今年もっとも素晴らしかった小説は本作だと思っている。
なお、ピチカートのシングル集は、その装幀がとにかくかっこよかった。CD版は、CDを買い続けてきた者ならば、ほろっとしちゃうようなデザインだったしね。

CYBERJAPAN DANCERS「スキスキスー」を入れようかとも悩んだが、次点では恵比寿マスカッツ「EBISU ANIMAL ANTHEM」を紹介しておきたい。というか、この曲に関してはPVも込みでの評価。これもストリートの音楽。2019年のTOKYOのストリート。

桃乃木かなの声がとにかく印象に残るんだけど、俺が言いたいのは、羽咲みはるがかわいいってこと(唐突)。